bmr5月号でも予告の通り、ラッパーの
Kane&Abelが書いた小説の日本語訳が、HipHop Novelの
青山出版社より刊行されました。
源九郎さん、情報ありがとう!!
ケイン&アベル
ディーバ(原題:DIVA)
(2004年)
「ギャングはラッパーに憧れて、ラッパーはギャングに憧れる」
ストリートの掟を守り抜き、FBIに収監された双子ラッパー「ケイン&アベル」が、音楽業界にはびこる嫉妬と欲望をリアルに描く!
【ストーリー】
人気女性シンガーを襲った突然の自動車事故。偶然の事故死なのか、それとも殺人か? NY市警の敏腕刑事ふたりの前には、ラッパー、ギャング、レコード会社社長らの容疑者が浮上する。作者自身の実体験に基づくこのストーリーは、どこまでが真実なのか?
【感想】
簡単に言うと、
「音楽業界殺人事件」。
訳者あとがきを読んで初めてわかったんだけど、主人公の恋人でラッパーの「ビッグ・ロック」のモデルは、
P.Diddyだそうです。ちなみに「イヤなヤツ」として描かれてますよ(笑)。
実はケインとアベルの音楽をまだ聴いたことがありませんので、音楽のクオリティーはわかりませんが、小説の方は・・・まあまあこんな感じってところかな(^^;)。
正直、サスペンスとしては二流以下かも。「巧妙な伏せん」がないんですよね(笑)。
先日
レビューを載せた
ヴィッキー・ストリンガー著の「
ワケありってことで」に比べると、リアルさと濃さの点でも、明らかに物足りない読後感。
私としては、もっともっと汚い世界(刑事が殺されるとか)をイメージしてたんですが(笑)。人物描写の不足からか、感情移入できるほどの深さや奥行きが感じられなかったのが残念です。
でも、テンポ良く次々と展開していくので、つまらないってことはないんですけどね。
19歳の人気絶頂の女性R&Bシンガーが交通事故で亡くなるところから、スタートします。ディライラという名前が「マライア」を思わせますが、天使のように純粋なキャラってことで、ちとイメージは違います(笑)。
頭に銃弾があったことから「殺人事件」だとわかり、二人の刑事が捜査するんですが、ちょっとした聞き込みが終わるたびに
「これで大きな手がかりがつかめたような気がした」っていう文が入るんですよ。「え?こんな程度の尋問で、いったい何がわかったの?」と思わず突っ込みたくなります(^^;)。
とは言え、とってもシンプルな文体なので、ふだん本をあまり読まない人でも、気軽にサクサク読めちゃうと思います。登場人物が、R&B歌手、ラッパー、レーベルのボス、ギャングなので、Black Music業界に興味がある人なら、そこそこ楽しめるんじゃないかな。
原書のカバー。こちらの方がイメージが沸きますね。
ケイン&アベルの処女小説はこちら。
Kane & Abel
Eyes of a Killer/Behind Enemy Lines
(1999年)
amazon.comの
ユーザー・レビューを見る限り、こちらの作品の方が評価が高いみたい。翻訳されないかなあ。