■南ア・アパルトヘイトとの戦い■
遠い夜明け
(1987年)
監督:リチャード・アッテンボロー
出演:ケビン・クライン、デンゼル・ワシントン
お勧め度:
☆☆☆☆☆
もう18年も前の映画なんですね。
若き日のデンゼルが演じた運動家・スティーブン・ビコに感動です。
【概要】
アパルトヘイトに揺れる南アフリカで男たちの熱い友情が生まれる。一人の黒人運動家(デンゼル)と、彼のメッセージを命がけで世界に伝える白人の新聞編集長(ケビン・クライン)の生き様を、巨匠リチャード・アッテンボローが力強く描いた壮絶なドラマ!
【感想】
アパルトヘイト=人種隔離政策(黒人差別・白人至上主義)っつーことは知ってたけど、こんなに壮絶だったとは・・・。ここまで酷い政治が行われていたという事実に、改めて驚きました。アメリカの比じゃないくらい残酷です。しかも、大昔の話じゃなく、たった20年前。この映画の公開当時さえ、まだ続いていたことらしいですね。
ちなみに、南アフリカで史上はじめて
全人種が参加する選挙が行われ、
マンデラ政権が誕生したのは、1994年。その7年前に公開された映画ということですから、当時はすごい話題だったんだろうなあ。今まで知らなかった自分が情けない(^^;)。もちろん、制度上のアパルトヘイトは1991年に廃止されていますが、今でも完全に差別がなくなったわけじゃないようで。
外務省のデータによると
人口4,483万人(2003年:南ア国勢調査)
黒人(79%)、白人(9.6%)、カラード(混血)(8.9%)、アジア系(2.5%)
ご覧の通り、
黒人がほぼ8割を占める国。
それなのに、1割に満たない人口の白人が、ここまで有色人種を支配し弾圧してきたというのは、本当に恐ろしい話です。ある意味、凄い。
エンディング・クレジットにもあるけど、この映画は、主人公の白人新聞編集長ドナルド・ウッズが実際に監修した映画だそうです。つまり、ほぼ
実話ってことです。もうとにかく、テーマは重いし、どうしようもなく怒りと悲しみが沸きあがる映画なんですが、諦めずに自由を求めた黒人たちと、それを支えた一部の白人たちの姿に感動します。未見の方にはぜひお勧めしたい映画です。
ただちょっと難を言えば、後半の亡命劇が長すぎるかな。
ここの部分のハラハラドキドキよりも、もうちょっとビコの生涯に焦点を当てるか、ウッズのその後みたいな部分も描いてほしかった。
私が
デンゼル・ワシントンという俳優を意識したのは、
Mo Better Bluesという映画。
この映画での彼はとても優柔不断で、セクシーな役柄でしたが、これより前のデンゼルのことは知らなかったので、かなり新鮮でした。当時からすでに演技派だったということがわかります。
彼が演じた運動家スティーブン・ビコは、決して暴力に訴えて扇動するタイプではなく、非常に落ち着いた態度で、言葉で説得するタイプ。南ア訛りの英語を使っての熱演です。
やっぱ彼はすごい役者さんだわ。